ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第64章 ショッピングモールと私と彼
店内を見て回り5着程を選ぶと彼は手早く会計を済ませてくれた
質の良さそうな長財布から現れた真っ黒なカードに店員さん達がたちまち頭を下げて至極丁寧な接客に早変わりした事に驚いた
彼にプレゼントされてばかりなのは申し訳ないが
きっと凄いカードなのだろう……
店員さん全員が揃って店先で頭を下げられるのは気が引ける………
更にはそんなVIPな彼の腕に可愛らしい紙袋が下がっている姿に自身は酷く傲慢な事をしているのでは無いだろうか………なんて思ってしまった
「ほんまにありがとうございます!私自分で持ちます!」
財力も無い私に出来る事はせめて荷物を持つ事だと申し出たのだが
「まだ買う物があるでしょ。服も足りないし靴も、あとコートも。選ぶ時邪魔になる。」
彼は無表情を崩さずに言った
………確かにそうだが……きっと彼は全てを買い揃えた後は"重たいから"と荷物を持ってくれるのだろう
(………………優しい…………)
私がどうして彼と恋人なのだろう
私に取り柄等無い。
美人か?可愛いのか?と聞かれても特化していると思った事は無いし性格が女性らしく愛らしい訳でも無い
………………まぁ気は良い奴だと思う………
一方彼は見目麗しく聡明で優しい………
まさにパーフェクトな彼を射止められた奇跡………っ!!!!!
誰に伝えるでも無くお礼を言いたい気分に成った
「………百面相してないで店を選びなよ。」
なんて呆れ顔の彼に満面の笑みで頷きながらも私は嬉々として歩みを進めた