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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第63章 鈍感な感情





私は詰まりそうな声を懸命に絞り出した


「…………なんでそんな事聞くんですか?」


美しい横顔は撃ち抜かれた絵画を見据えたまま唇を開いた


「……俺には不必要だから沙夜子が護身用に持っても良いかなって少し思っただけ。」


「……そうですか……」


彼が口にした言葉は事実だろう

ホテルのフロアを貸し切り、ボディーガードを手配する程なのだから

しかし何故か腑に落ち無かった

他にもまだ彼には何か思いがあったのでは、と

何故そう思うのだと聞かれてしまえば明確な答えは無い

只漠然とそう感じたとしか言い様が無かった


「…………イルミさん今何考えてますか?」


「別に何も。」


「嘘付かないでください……」


「どうして嘘だと思うの?」


「……イルミさんがいつもと違う気がするからです」


仕事の事を口にし、銃を私に見せ、撃ってみるか等と普段の彼は言いそうに無い

不思議と自身が殺められる恐怖は無いのだが

彼の言動の僅かな違和感は私の不安を駆り立てるには十分だった


沈黙の時が流れる


時計の秒針だけが妙に煩く響いて嫌に胸が騒いだ



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