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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第63章 鈍感な感情






映画なんかで聞き覚えのあるその音に嫌が負うにも意識は行くもののじっと視線を落としていると


「自動拳銃、M1911」


彼がボソリと呟いた


「沙夜子」


「はい!」


名を呼ばれて彼の方へ視線を向ければしっかりと握られた銃が視界に入って身体が強張った


「耳塞いで。」


「………は、はい………」


指示通り耳を塞げば真っ直ぐに伸ばされた手が引き金を引いた


バァンッと思いの外大きな音がして肩が跳ねる


「もう良いよ。」


耳を塞いでいた手を取られ耳元に落ちる声に彼を見遣ると彼はじっと私を見ていた


初めて見た銃に初めて聞いた銃声

身体中が強張るのは本能的に仕方がないと思う

そんな私に向けられた瞳は冷静に私を観察している様に見えた


彼の意図が解らぬままに銃が向けられた前方に視線を向けると壁に掛けられた絵画の中の小さな林檎から僅かな煙が上がっていた


「……ゴミだね。」


その言葉に視線を戻せば彼はクルリと銃を回してグリップを私に向けた


「撃ってみる?」


首を傾げた彼の首筋に艶やかな髪が一束流れ落ちる様を妙に長く感じた


「……い、いえ………」


意を介さずに出た拒否の言葉に暫し見詰め合った私達だが
先に逸らしたのは彼だった


「だよね。」


なんて言いながらアタッシュケースに銃を手放した彼の真意が解らない



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