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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第63章 鈍感な感情






「要らない手土産まで持たされてさ。…………まぁ情報収集としてはメリットがあったから無駄足じゃ無かっただけ有意義だと思わないとやってられない。」


アルコールをとったからなのか仕事の事を私に話す彼を新鮮に感じた

うんざりとした表情から吐かれる言葉は愚痴らしい愚痴では無いにせよ、相当気疲れしたのだと思わせるものだった

すっかり空に成ったグラスに水を注ぎ足していると彼は床に転がしていた見慣れないアタッシュケースを開いた

隣に座っている事で自然と視界に入った中身

私は咄嗟に視線を逸らした


彼の膝上で開かれたアタッシュケースの中には銃が入っていたのだ


彼が故意に私を仕事から遠ざけている事は何と無く感じている

彼の扱う針も暗殺道具だと言われればその通りなのだが

物騒な世界からは程遠い世界で生きてきた私からしてみれば彼の扱う針よりも銃の方が余程現実味があった

周知の通り日本では銃刀法違反が存在し間近で本物とおぼしき銃を見るのは初めてだ

しかし映画やアニメ、ゲーム何かで武器として人を殺める道具と認識がある


中身を見ない様に只手元に視線を落としながらも再三認識するのは彼は人を殺める仕事をしているのだという事実だった

被害者からしてみれば彼は悪者以外の何者でも無い事は十分理解しているし

常識的に考えても罰せられるのは当然彼なのだ

しかし私は複雑な気分だった

もしも彼がごく一般的な家庭に生まれ育っていたならば暗殺なんて仕事を選んだだろうか

そもそもゾルディックの先祖が始めたが為の被害者であり、依頼人が一番の悪では無いのか

依頼が無ければ人の命が奪われる事は無いし依頼人が直々に手を汚さない為に彼を使う

そのサイクルさえ無くなってしまえばと思ってしまう

……………彼は針を使い無関係な市民を使ってしまう様な欠落した人なので彼が無罪だなんて到底言えないし言う気も無いが


なんて考え込む私の隣でカチャリと金属音が鳴って一気に現実に戻る



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