ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第63章 鈍感な感情
鬱陶しそうに上着を脱いでひじ掛けに掛ける所作すら潔癖なまでの美しさを放つのだ
この世に彼に惹かれない女性等存在するのだろうか………
……………それは私が心底彼に惹かれているから思う事だろうけど
目の前の彼は圧倒的に美形なのだ
「イルミさん、今日凄い格好いいですけど………あ、いつも格好いいんですけど」
「………水もらえる?」
私の声に視線を向けると彼は短く言った
全然水あげる。
なんて即座にコップを手渡す私は従順過ぎて不憫な気さえする
私は彼が何故その様な格好なのかが知りたいのだが水を優先した
小さく ありがとう と言って中身を一気に飲み干した彼は溜息と共にコップをテーブルに置いた
その姿をじっと見ていた私が口を開いたと同時
「今日は貴族や政治家が集まるパーティーがあったんだ。………招待状が届いたと執事から連絡があった。」
「………パーティー」
「個人事業主みたいな物だから営業するに越した事は無いし会場にはマフィアとか裏社会の人間も其れなりにいたんだけど政治家も相当汚れてるよね。」
「…………楽しかったですか?」
そんな大物が集まるパーティーなんて華やかに違い無い
私は平凡に育って来たのでどんな物かいまいち想像が付かないが以前彼が連れて行ってくれた舞踏会を思い出していた
しかし彼は露骨に眉を潜めると
「………パドキア中部迄の往復、後は営業と情報収集、ビジネスだよ。楽しい訳が無い。」
溜息混じりに言った
表情や声色から事実、彼は微塵も楽しんでいないのだろう事が解って内心ホッとする自分がいた
少なからず、すり寄る女性がいても彼はビジネスモードであしらっているのだろうと思えたからだ