ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第11章 色の無い世界での一週間
じっと玄関扉を見詰めて只彼女を待った
ちゃぶ台に置いた最後のプレゼント
きっと沙夜子に似合う筈だ。
彼女は光り物が好きだから輝くダイヤモンドを選んだ
喜びを浮かべて目一杯瞳を細めて彼女は笑う
一生外さないなんて馬鹿な事を言い出すかもしれない
………だけどその姿は見られない。
残念だけど俺は行か無くちゃ
カラカラと鳴る回し車の音に小さなハムスターを見る
「やっぱりお前とは仲良くなれないけど、沙夜子の事頼んだよ。」
ハムスターは素知らぬ顔で回し車を回す
どうか彼女を笑顔にしてやって。
勢い良く開いた扉
何時もよりおめかしした彼女の姿
可愛い、なんて言わないよ
「おかえり」
何時もと変わらない言葉の方が二人らしい
「良かったよ、最後に会えて。それじゃあね」
もっと伝えたい事は沢山あるけれど瞳からポロポロと涙を流す彼女の姿に身が裂かれそうだった
これ以上彼女を見詰めてしまったなら
要らない事まで口走ってしまいそうで背中を向けた
……………帰りたくない…………
本当はずっと傍にいたかった
御免
一歩出した足が止まる
彼女が背中を引いたから
御免。此処には居られないんだ。
『………嫌や………嫌や!!!!』
ズキリズキリと痛む胸
泣かせたのは俺だ。