ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第62章 チャンバラのヒトコマ
じゃーん!なんて言いながら新聞紙の棒を見せれば彼は怪訝な表情を浮かべた
「何それ、ゴミ?」
上流階級の御坊っちゃまにはこれが何なのか理解出来ないらしい
しかしゴミ等では決して無い
一般庶民なら一度は手にした事のある刀……………
「違います!刀です!」
鼻息荒く言った私に
「頭おかしいんじゃない?新聞紙だよ。」
彼は至極真っ当な言葉で私の心をえぐった
………この棒を刀等と触れ回れば確かに頭がおかしいだろう
しかしそういう意味では無い
「チャンバラしましょう!だからこれが刀代わりって意味です!」
「…………チャンバラね。」
どうやらチャンバラという言葉の意味は理解出来たらしく彼は漸く腑に落ちた顔をした
………頭がおかしい女だと思われなくて良かった………
新聞刀を一本手に取った彼は本当に付き合ってくれるらしく椅子から立ち上がった
「良いけど沙夜子直ぐに負けちゃうよ。」
そんなの私にだって解ってる
だからこそ私はルールを考えた
「ルールがあります!」
「ルール?」
声を上げた私にこてんと首を傾げた彼が死ぬほど可愛いが内心身悶えながらとにかく続ける
「勝負は10本、相手を打つ時に必殺技を言わなければ一本とは見なしません」
このルールが無ければ私の負けは確実である