ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第62章 チャンバラのヒトコマ
10月のある日
私は非常に暇だった
身体を伸ばして大きな欠伸を噛み殺す
窓辺に視線を向けるとダイニングテーブルにてコーヒーを傾け片手で読書に勤しむ彼の姿
…………実に見目麗しい………
彼がいるのに何故何もせずにいるかと言うと連絡が入り次第仕事に出なければならないらしく外出を断念し、提案したDVDも却下されてしまったからだ
………依頼人が恨めしい………
そんな訳で暇を持て余す私だが二人でちょっとしたお遊びくらいなら出来るんじゃ無いだろうかと思い立つ
「イルミさん!」
「…………ん?」
「いらん新聞ありませんか?」
「ローテーブルの下。」
ぼんやり答えた彼の言葉通り新聞はローテーブルの下にあった
新聞紙をクルクル巻いてセロハンテープで補強すれば一本の棒に成る
私は同じ要領であっという間に2本の棒を生み出した
新聞紙を巻いて棒を作り出し遊ぶ遊びなんてひとつに決まっている
出来上がった2本を後ろ手に歩み寄れば彼は顔を上げた
「イルミさん!遊びましょう!」
「…………何して」
栞が挟まれ閉ざされた分厚い本
彼がお誘いに乗り私に構ってくれるのだと思えば其れだけで簡単に胸は高鳴る