ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第61章 彼の配慮
嫌じゃないなら何故拒否を含んだ表情を浮かべていたのか
彼の方へ視線を向ければチラリと向けられた横目と目が合う
「………俺の仕事は暗殺で、勿論俺は命を狙われるリスクがある。」
彼はゆっくりと言葉を選ぶ様に紡いだ
「沙夜子の存在が万が一露見した場合そのリスクは沙夜子にも向けられる。あの場で二人が同じ物を買うなら多分キーホルダーとかそういう身に付ける物だろうと思って」
「…………はい」
「もし沙夜子の事を認識して賞金稼ぎのハンターに俺が囚われたら身に付ける物の場合二人お揃いだと確かな裏付けに成り得る。」
彼の言葉は私の下らないショックを上回る優しい配慮だった
彼の職業を考えるなら至極当然の事の様に思えて馬鹿みたいに落ち込んでいた自分を恥ずかしく思った
私は微塵も彼に配慮出来ていなかったのだ
「あの場で説明出来れば良かったんだけど人混みだったし早く説明しようと足早に成った。………沙夜子を落ち込ませるくらいなら探せば良かったね、お揃いに出来そうな物。」
私は泣きそうに成っていた
きっと彼に向けている顔も酷く不細工だろう
私は彼の事をちっとも配慮出来ていなかったのに………彼の気持ちが心に染みて行く
彼の確かな愛に触れた様で胸が一杯に成った
「………身に付ける物じゃ無ければ良いんだけど、前みたいにマグカップでも………」
なんて私を気遣いチラリと此方に視線を向けた彼は私の表情にふぅっと息を吐いた
「…………泣かないでよ」
「イルミさん優し過ぎます………大好きです………嬉しい"………私幸せ………」
なんて涙声で伝えた私に
「沙夜子は本当世話が焼けるよね。」
彼は柔らかい声色を返したのだった