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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第61章 彼の配慮



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帰り道は混んでいた


ブレーキランプで真っ赤に染まる彼の横顔を見詰める


只カップルを羨ましいと思い発した言葉は重い空気を作り上げただけだった


彼は一言だって拒否をした訳では無い

しかしあの言葉に関して触れる事も無かった


彼とのお揃いが欲しいなんてちょっとした憧れでまさか自分がこんなにも悲しい気持ちになるだなんて思いもしなかった

窓の外を眺めればすっかり陽が落ちて輝くネオン街が遠くに揺れる


私は車に乗ってから永遠と話し続けた

驚いた魚や植物の話し、そこから派生した下らない話し

彼は普段と変わらずそんな私の声に相槌を打ち続け


遂に話す事が無くなってしまった

正確には元気なフリを続ける勇気が無くなってしまったのだ


あからさまにあの瞬間から私達はギクシャクしている

それを無かった事にしようと必死に成ってみても雰囲気は一向に回復しなかった



「ごめん。」



ポツリと聞こえた声


私は何故だか泣きたくなって窓の外を眺めたまま固まってしまった

何に対しての"ごめん"なのだろう

別に彼は悪い事等していない

私が勝手にショックを受けたのだ

だから私は普段通り振る舞おうと必死だった


何と返事を返せば正解なのか解らない

なんのことですか?なんて聞き返せば彼は押し黙ってしまいそうだし

明らかにきっかけはあったのに何に対して謝罪されているのかさっぱり解らなかった

言葉に迷い無言を貫く私に


「お揃いが嫌だとかそんなんじゃ無いんだ」


単調な声は続いた



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