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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第61章 彼の配慮





彼の言葉に砂時計を見遣ればすっかり砂は落ちきって微動だにしない物が目の前にあった


「………いや、……あはは………」


確かに既に終わった砂時計を凝視しているなんて何が面白いんだと思われて当然だ


隣を見遣れば先程のカップルは居なくなっていた


「……欲しいの?それ。」


「いえ、全然」


「…………じゃあどうしたの。」


彼は鋭い


私の思考迄は読めずとも変化に直ぐ気付く

馬鹿みたいに誤魔化して空回りするくらいならいっそ彼に確めてみる事にした


「………あの、イルミさんとお揃いの物が欲しいなぁ………みたいな事を考えてまして………」


おずおずと口を開いて見上げた先彼は僅かに眉を反応させた

露骨に拒否はされていないにせよその表情から快くは思っていない事が伝わった


ズキリと痛む胸

別に強く拒否をされた訳では無い

其れなのに傷付くだなんておかしな話だ

…………だけどやはり少しショックだったのは事実で


「というのは冗談でして!」


なんて無理矢理に笑顔を作って見せる

手近にあった魚型クッキーを手に取ったのは顔を出来るだけ隠したかったからで


「これ食べたいです!」


「…………解った。」


大きな瞳が逸らされて手の中のクッキーは彼に取り上げられた


彼はきっと私の表情に気付いていて知らないフリをした



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