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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第61章 彼の配慮






真っ黒な魚に怯え、水槽で泳げないと断言した私があの魚を悠に越える50m級の化け物が泳ぐ水槽へ入れると思うだろうか

普通の人間ならそうは思わないだろう…………そう、普通の人間ならばだ


……………私の恋人は普通では無い。


目の前に現れた大層立派な鉄格子には隙間があり、その隙間から餌を遣る事は容易に想像出来た


躊躇無く入って行く人々を朦朧と視界に入れながらもまんじりともせず直立していると


「ほら行くよ。」


私の腰に腕を回した彼が優しくリードしてくれた


こんな場面で紳士的なリードなんて全然いらないのだが促されるまま歩み出したのは惚れた弱みというやつだろう

普通の友人や何とも思っていない人にされても私は決して動かない自信がある


それはさて置き、


………………鉄格子に入ってしまった


ガシャンと頑丈そうな錠が掛けられて飼育員さんが「行ってらっしゃい!」なんて笑顔で手を振っている


ゆっくりと水槽の中央に降りて行く鉄格子の中で私は永遠に到達しなければ良いのに、なんて考えていた


餌の合図に気付いたらしい巨大魚達が一斉に中央に集まって来る様は圧巻で


圧倒的な無力感が身体を包んだ


頼り甲斐のある彼の大きな手をぎゅっと握り締める

私は恐怖からそうしたのだが

彼は私がはしゃいでいるとでも思ったのかしっかりと握り返すとゆらゆらと手を揺らした


……………何故こういった場面で私の顔色を伺えないのか私には理解出来ないがそんな事はどうでも良い


ウェットスーツ越しに水を感じたのはほんの少し前なのに水深はみるみる私の胸迄迫っていた


(…………………終わった…………)




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