ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第61章 彼の配慮
私は鉄格子を前に震え上がっていた
「ではどうぞ!」
なんて笑顔の飼育員さんをガン見する
…………………正気か……………?
私の表情から滲み出る恐怖を感じ取る事等容易な筈だ
レストランから見えた水槽はこの施設一番の目玉だった
そんな大水槽の本来なら客が立ち入る事等不可能なバックヤード
大水槽の上に位置する場所に私達含めた五人の大人は立っていた
……………何故こう成ったのか……………
昼食を終えた私達はイエローイルカという可愛らしいイルカのショーを楽しんだ
その後14時からのお食事タイムの呼び出しにて"アーバン様"なんて聞き馴染みも無い名前が聞こえた途端に彼は私を連れて飼育員さんの元へやって来たのだ
手渡されたウェットスーツに頭に浮かぶ疑問符
「お着替えは15分程でお願い致します」
なんて笑顔の飼育員さんの言葉に急かされて訳も解らないままに着替えを済ませたのだが
その後案内されるがままに連れて来られた先が大水槽の真上だった
……………………ウェットスーツと水槽………………
どんどん血の気が引いて行く私だけを置いてきぼりに酸素ボンベとヘルメットが一体に成った様な物を背負わされ気が付く頃にはしっかりとヘルメットを被らされていた
…………………待て待て待て待て……………
私は未だ状況が理解出来ずに静かに佇む彼をガン見すれば彼は単調な声をくぐもらせながら
「好きでしょ餌やり。」
なんて言った
…………………好きでしょ餌やりでは無い。