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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第60章 異世界の魚達





足元を悠々と泳ぐ魚は体長50mはあるのでは無いだろうか……


……本当にこの硝子は割れないのか……

なんて不安に成ってしまう

これだけ大きな魚が泳いでいて更にはレストランとして料理を提供しているのだから余程分厚い水槽なのだろうけど


席に付いても私は落ち着く事は出来ずに頭上を横切る影をガン見している

足元を見下ろしても無数の巨大魚がうごめいていた


……………………正直怖い。


はしゃぎながら跳ね回る子供を今すぐに追い出したい

跳ねたりしたら硝子が割れるっ!!!!

頑丈なのだろうと理解していても怖いものは怖い…………



運ばれて来たピラフを前に私はすっかり縮こまっていた


そんな私を真っ直ぐに見据える瞳



「食べないの?」


「………いえ、食べます」



……………私は知っている


彼は必ず私を連れ出した先で私の反応を伺うのだ

柔らかなキスや私に触れる手はいつも優しく彼は少し臆病なのかもしれないと思った事があった

キスも手も私がはね除けてしまえば直ぐに離れられる加減

それは私の気持ちを確かめている様に思えた


驚異のマイペースを発揮し、誰の顔色も気にしない様でいてそれら全てには彼なりの何かが存在する

彼の根は真面目で繊細な人なのだろう


今回のデートだって多忙な彼が無理に時間を空けてくれたのかもしれない

そんな中で場所は私の趣向を考慮された物を選び考えてくれた

私が少しでも不快そうならば完璧主義な彼の事

デートは失敗だったと判断するかもしれない


全く失敗なんて無い筈なのに彼の中で良い思い出として残らないなんて悲しいと思った


スプーンを持ち上げて彼を見詰めれば彼の漆黒の瞳は此方を向いていた



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