ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第60章 異世界の魚達
良く見てみれば目玉は無数に水槽を泳いでいてそれの一つと目が合った
何故泳いでいると思うのかと言うと目玉達にしては大きな水槽の中まるで意思を持っている様に動き回っているのだ
ゾッと身の毛がよだつ…………
………………彼は私に野生動物を見せた際なんちゃらモンキーを可愛いと発言した
まさかとは思うがこの目玉も可愛いなんて言い出すのでは無いだろうか………なんて隣の彼を凝視していると彼は形の良い唇を開いた
「クリアフィッシュ、本体は極めて透明で肉眼では目玉だけしか確認出来ない貴重な魚だよ。」
「透明な魚ですか!!!」
………成る程…………
正体が理解出来れば先程迄込み上げていた不気味さが消えて行く
「凄いですね!!!」
「保護色よりも確実な防衛だよね。」
クリアフィッシュの水槽前で頻りに感心した私達だったが後が詰まっている事に気付いて再び歩き出した
「この世界の魚はやっぱり私の知らん種類がいっぱいいてるんですね!」
「うん。」
楽しくて揺らした手
見上げた先彼は柔らかい表情を浮かべた
_________"
次いでやって来たのは亜熱帯ゾーン
先程迄の平凡な水族館の雰囲気はまるで無く
植物園と複合されている為に舗装された道の脇には本格的な森林が再現されていた
そんな中、ショーケースに隔離された花に目が奪われる
数え切れない程無数の花弁を付けた純白の花は自ら光を放ち美しく咲き誇っていた
光る花を見たのは生まれて初めてである
じっとショーケースを覗けば蛍の様にゆっくりと点滅を繰り返していて説明書きにはこうして発光する事で虫を誘き寄せて受粉を促すのだと書かれていた
なんでもこの花は50年に一度しか花を咲かせないらしくタイミングが合わずに孤独に枯れてしまう事も多いのだそうだ
折角こんなにも美しいのに咲いて只枯れてしまうのを待つだなんて悲しい
ショーケースに閉じ込められたこの花は他の花に出会わずに散って行くのだろうか
なんて思いながらも私に合わされた歩調で前へ進む