ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第11章 色の無い世界での一週間
自身の気持ちを自覚してからはより一層彼女を見て話しを聞いた
彼女を知りたくて仕方がない
彼女の気持ちが知りたい
既に自身が自身では無くなっていたけれど何度頑張ってみても後戻りは出来ない心に苦悩した
そして彼女もまた自身と同じ感情を抱いているのだと知った時は驚く程嬉しかった
生きてきた人生でこんな喜びがあるのだと初めて知った
しかし想いを伝える事は出来ない
いずれ来る別れを前に本当の恋人に成って幸せな日々を送ったとして残された彼女はどうなるというのだろう
また俺は苦悩した
芽生えた気持ちを伝える術は無い
沢山の日々を重ねて知らなかった感情を知らなかった景色を知らなかった温もりを知らなかった幸せを
彼女は俺に教えてくれた
俺は彼女に何を出来ただろう
北海道最後の夜
俺は彼女に沢山の跡を残した
別れの時は迫る
もうすぐ自身は元の世界へ帰るのだと念の気配が伝える
今にも愛しい彼女を抱いてしまいたかった
そんな気持ちも全て唇に乗せた
本当はその可愛らしい唇にキスを落としたかった
俺が居なくなって彼女は俺の知らない誰かと恋をするのだろうか
ずっと俺だけを見ていて欲しい
忘れないでいて
独占的な跡は彼女の肌に咲いて
………………こんな事をしても無意味なのに
独占的で身勝手な自身の行為に彼女は赤く頬を染めた
愛しくて大切な人
全てを閉じ込めて俺だけのものに………
………馬鹿みたいだ
何の意味も成さない行為に熱を上げる自身の身体
頭の中は幼稚で我が儘な事ばかり
溜息が漏れた