ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第59章 愛しい間抜け
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夕食はルームサービスのパスタが付いた豪華なコース料理だった
しかし彼は何度も部屋を出入りされたく無いらしくコース料理の全てを一度に出せと注文した
その結果テーブルにはおびただしい数の料理が並んでいる訳だがもたもたしていると冷めてしまうので私は懸命にがっついている
料理を受け取ろうと扉を開けば部屋の外には何人とも解らないボディーガードの皆さん
彼に問えば今回はこの階と更に下の階迄貸し切ったとまるで挨拶でもするかの様にサラリと教えられた
「乾杯」
「乾杯です!」
恐ろしくて値段を聞け無いシャンパンを口に運ぶ
…………………私はいつからこんなに箱入りに成ったのだろう………
村のホテルで過ごした1ヶ月、手料理ばかり食べていた
久しぶりに食べるプロの味は絶品で心底幸せなのだが
八百屋のおばさんにさよならを告げられ無かった事が心残りだ
テレビの大画面から流れるDVDは私の趣向を考慮してかコメディで
相変わらず彼はクスリとも笑わない
「イルミさん!このエビのやつめっちゃ美味しいです!」
「そうなんだ。まだ食べてない。」
「お肉も柔らかくてお酒が進みますね!」
「そうだね。」
映画の展開に思わず笑い声を上げる私だが、ふと視線が刺さり緊張した
…………先程から彼はテレビを見ようとせず何故か私にばかり視線を向ける
チラリと様子を伺えばばっちり目が合うが彼は其れでも視線を逸らそうとせず
頬ばかりが熱くなり私の方が視線を逸らしてしまった
カチャカチャと食器の音は聞こえるので別にずっと此方を見ている訳では無いだろうが
彼が何を考えて此方を見ているのか皆目検討が付かなかった