ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第59章 愛しい間抜け
どれだけそうしていたのか不意に眉が僅かに潜められぱっちり開いた大きな瞳はじっと私を見詰めた後に自身の置かれた状況を把握する様に視線を漂わせた
「……………いつから起きてたの?」
「ちょっと前から」
「起こしてくれれば良かったのに」
緩く髪をかき上げながら姿勢を正した彼は真っ暗な部屋を見渡し窓の外へ視線を向けた
「…………いえ、……イルミさんは寝顔まで素敵ですね」
不意に口を付いた台詞は思いの外部屋に響いて、彼が小さく笑った声が聞こえる
「…………沙夜子は俺の顔、好きだよね。」
ドキリと心臓が跳ねた
確かに私は彼のルックスの全般が否定の余地無く好きだ
しかし外見だけが好きな訳じゃ無い………なんて思いながらも素直に口を開く
「………………はい」
「寝顔が素敵なんて恥ずかしくて言えやしないよ、普通。」
指摘された事で頬が熱くなる
「…………イルミさんにも恥ずかしいって概念は存在するんですね」
照れ隠しから思いの外拗ねた様な声が漏れたが彼はまた小さく笑った
「………お腹すいちゃった。」
「ですね」
彼はソファーから立ち上がると部屋の照明を付けずにテレビ横に立っている電気スタンドの小さな灯りを付けた
「DVDでも見ながら夕食にしようか。」
なんて素敵なお誘いにワクワクと胸を弾ませながら私は強く頷いていた