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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第59章 愛しい間抜け






「……………日没までに戻る事。その他、条件はそのまま継続する。」


「!!!ありがとうございます!」


「…………。」



面白く無さそうな顔で溜息を付いた彼だがヒソカさんとの外出を許可してくれた事が嬉しかった

ヒソカさんと外出出来る事が、というよりも彼なりに私の事を理解して以前に増して深く受け入れてくれているのだと感じたからだった


物音ひとつしない部屋の中だらしなく頬を緩めていると彼は天井を仰ぎ見たままポツリと呟きを落とした


「………片付けは明日にしよう。今日は何もしたくない。」


運び込んだ荷物が山を作っているが彼は其れ等を片付ける気は無いらしい


広い窓から差し込む太陽に部屋が赤く染まり彼のシルエットが綺麗に浮かび上がる

長い空の旅だった

並外れた体力がある彼でも疲れる事もあるだろう
几帳面な彼だから、それこそ気疲れしたのかもしれない

普段からきっちりとした彼の性格を私は理解しているけれど、彼は時折今の様にスイッチを切る

其れがガス抜きになるならばたまにダラけるくらい良いと思う


完全に体重を預けてソファーに沈む彼は静かに睫毛を伏せた


きっと誰にも見せない気の抜けた姿

部屋に入ってから肩の力を抜く様に数個開かれたシャツから覗く肌は橙色に染まり、端正な唇が力無く薄く開かれていた



「イルミさん」


「………んー?」


「ちょっと寝ましょ」


「……そうだね。」


「おやすみなさい」


「おやすみ。」



暗殺者として名高い彼の穏やかな素顔は私を幸福に包み込んで
私は直ぐに心地好い微睡みの中へ落ちて行った




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