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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第59章 愛しい間抜け






そんな部屋に怯む事無く悠々と歩みを進めた彼は見るからに上等そうなソファーに腰掛けると背凭れに体重を預けた

優雅に組まれる長い脚


只ソファーに座る、其れだけの所作をこれ程上品に感じさせる彼は流石としか言い様が無い


なんてぼんやり見惚れていると


「いつまでも突っ立ってないで座れば?」


気の抜けた様に緩く開いた瞳を此方に向けるので私はおずおずと隣に腰を下ろした


「……し、失礼します。」


なんて恋人間でおかしな台詞かもしれないが………私と彼とはこれくらいのパワーバランスなのだ………


未だ彼の見目麗しさに慣れずにモジモジする私だが彼は何ら変わり無く余裕を漂わせていて


「沙夜子、今から話す事を良く聞いて。」


静かな室内に低く声を響かせた



背凭れに体重を預けたままの彼は横目に私を鋭く捉える


気が抜けた様に細められた瞳に真剣味が宿ると何とも言えない美しさを生み出した

緊張感を与える目元、しかし口調は真剣ながら柔らかいものだった


「この街は今までの街と比べ物に成らない治安の悪さだ。……決して部屋の外に出ない事。そして、部屋に誰も招き入れ無い事。」


「…………はい。」


「前のように平和な村なら多少の外出も許可出来るけど、今回はヨークシンすら足元にも及ばないから。…………解ったね?」


ゆっくりと説明した彼に頷きながらも頭の中には確認事項が浮かんでいた



「あの、質問が…………」


「何」


「…………お友達との外出は………?」


もし、この街ではヒソカさんも例外だというなら其れに従おうと思った
彼は私の主張に十分譲歩してくれる人なのだから

確認を怠って意見が食い違うなんて馬鹿馬鹿しい事態は避けたいのだ



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