ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第59章 愛しい間抜け
9月26日
私達はカサバナの村を後にした
そしてやって来たのはパドキア共和国南東、飛行船で約12時間
ホテルの窓から見える景色に私は歓声にも似た声を上げていた
「天空闘技場ですね!!!」
「……………あぁ、コミックで知ってるのか」
「はい!」
「どんな所が載ってたの?」
「………キルア君が………ゴンとお小遣い稼ぎ?に行って個室もらってました」
正直彼にキルアと更にはゴンの話をするのは妙な緊張感がある
それは彼がゴンを快く思わず全否定しているという事実を直接聞いた訳では無いにせよ知っているからだ
家を出た後のキルア君の行動を彼が把握していたのかは定かでは無いが、少なからずデリケートな話題だと思う
同じ様に並び立ち、窓の外を眺める彼の横顔をチラリと伺えば
「…………ふーん。」
彼は何処か間の抜けた声を漏らしただけだった
何を思ったのかは感情の希薄な横顔から伺い知る事は出来ないが
長い黒髪を艶やかに揺らして室内を振り返った彼につられて私も窓に背を向けた
「…………しかし広いですね……」
私達の新たな拠点は街中で一際大きなホテルだった
その最上階のペントハウスは最初のホテルに比べれば小ぢんまりしているのかもしれないが全部で40畳はありそうなリビングルームにベッドルーム、贅沢なジャグジーが素敵な浴室と私には敷居の高いハイレベルなお部屋だ
全体的に深い茶色を基調とした室内は重厚な雰囲気が漂っている