• テキストサイズ

ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第56章 酔いどれのヒトコマ






「お早いご帰宅だなっ!!」


「……………うん。」


「うふふふふふふふふ」


「…………………。」



床に転がしたままだと風邪を引きかねないのでとりあえずソファーに運び部屋を見渡せば


開け放たれたクローゼット、側に散らかった衣服は彼女の物で床に転がるアルコールの缶は全部で16本、彼女が居座った場所を示す様に点在していた

そして何故か自身の写真集と言われて見せられたゴミ迄転がり彼女の以前のスマホからはアニメソングと思われる独特の曲が流れている


そのサビに合わせて突然大声で歌い出した彼女の声に少々驚いたが


こう成ってしまった経緯より先に本来の服に着替えてもらう事が先決だと思った


「………ねぇ、それ俺の服だよ。」


白いシャツから透けて見えるピンクの下着

普段自身が身に付けている時は思いもしなかったが彼女が身に付ける事で彼女の骨格の小ささが際立っていた

更に下にズボンの類いは身に付けられておらず生足が柔らかな太腿をちらつかせている


そんな無防備な姿で居られては此方もその気に成ってしまうが
当の本人に記憶は残らないのだと思えば押し切るのも憚られた


しかし彼女はそんな自身の揺らぎ等思考に一切無い様子で


「そうやねんっ彼シャツー!!」


満面の笑みを向けた


溜息が漏れる


聞き慣れ無い単語だがどうやら自身のシャツを着ている事を指す言葉なのだろう


「イルミンはおっきいな!!」


「………沙夜子が小さいんだよ。」


自身の膝に倒れ込んだ彼女の姿に天井を仰ぎ見る


「……早く着替えてくれない?」


「やだね!これは今私のやもん!」


「………………あっそ………。」


すんなり聞き入れる気は無いらしい


はしゃいだ様子でブカブカの袖を揺らした彼女の唇を奪ってやれば真っ赤に染まった後に大人しく着替えに消えた



「……………散らかし過ぎでしょ。」



全く世話が焼ける………なんて思いながらも


せっせと部屋を片付ける自身、そして着替えを済ませて鼻歌交じりにソファーで酒を煽る彼女


何より満更では無い自身に溜息が漏れた



「…………もう知らない。俺も飲むからね」


「飲もう飲もう!!!」



たまにはこん日も悪く無い……なんて彼女の馬鹿が移ったのかもしれない





/ 1349ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp