ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第56章 酔いどれのヒトコマ
しかしそんな事はどうでも良い
彼の目にさえ入らないとなれば私は簡単に不審者に成り下がるのだ
「んふふふふふ……………いつ見ても美しい…………」
私が引っ張り出したのは彼の写真集だった
彼が居ない期間に穴が開く程眺めた物だ
以前は彼に会えない苦しみをぶつけていたが再会し再び眺めるとその美貌に目が行く
振り返った瞬間や流し目、はたまた布団に寝転びシャツをはだけさせた姿は悩殺的で身悶えてしまう
今考えればこんな馬鹿馬鹿しい事に彼が良く付き合ってくれたものだと思うがその当時の自分を称賛したいくらい素敵な魅力が詰まった本に仕上がっている
「………………はぁ…………親方………私達幸せやなぁ…………こんな綺麗な人と衣食住してるとか…………人類の贅沢の極みやなぁ…………」
なんて呟いた私はテンションの赴くままに二時間程熱唱し
その間に空けたアルコールは8本に増えていた
そして酔っぱらい特有のぶっ飛んだ思考により私は再び立ち上がる
フラフラと覚束無い足取りでやって来たのはクローゼット
豪快に扉を開けば中には綺麗に陳列した彼の私服が並んでいた
「うふふふふ」
なんて気持ち悪く笑っているが私がしようとしている行為はその笑みよりも気持ちが悪い
彼が良く着ている白のシャツを取り出すと私は衣服を脱ぎ捨てて徐にシャツを羽織った
噂の彼シャツというやつである