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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第56章 酔いどれのヒトコマ







彼がアパートにいた頃に良く聞いていた曲は変わらないメロディーで部屋に流れ、懐かしい雰囲気を漂わせた

瞼を閉じれば古びたアパートの光景が広がり使用感たっぷりの座椅子がギシリと音を経てる


『コーヒー飲むけど、沙夜子は何か飲む?』


テレビを真っ直ぐ見詰めたまま単調な声が聞こえて伸びきったTシャツにスウェット姿の彼が悠々と立ち上がる


再び瞼を開けば小ぢんまりと綺麗なホテルの一室
彼は変わらずにソファーで同じ事を聞くのだ

…………彼に会いたい………


そう強く思えば思うほど一層孤独に苛まれて行く


グラスを傾けてぼんやり思い出に浸り、彼の温もりを思い出してどのくらい経ったのだろう


一人でお酒を飲んでいると随分と回りが早く


孤独に耐え切れ無くなった私は親方のケージ前へ移動していた


おつまみをバリバリ頬張りながらお酒でそれを流し込む


「親方~イルミさんは多忙やなぁ。暗殺ってそんなにいっぱい仕事あるんやなぁ~………………浮気!?!?…………は無いよなぁ…………」


「だって、イルミさんって簡単に心開かんそうやん?嘘も苦手みたいやし……………悪戯の時の演技力凄いけど」


「……………そんなイルミさんが私達には心開いてくれたってさ…………凄くない…………?!」


木製ベッドでスヤスヤ眠る親方は我関せずと言った態度だが自分で喋っておいて痛く感激してしまった


警戒心が強い彼が心を開いてくれた人物が私だなんて…………


「……………………幸福過ぎるんやけど!!!!!!」


「ちょっ!!!テンション上がってきたー!!!!」



端から見れば相当ヤバいだろう

昼間から既に三本のアルコールを空けてハイテンションにペットに話し掛けニコニコしているなんて

私が目撃したなら決して御近づきになりたくない人物だ



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