ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第55章 小悪魔の誘惑
「排泄中とセックス中は無防備だから命を狙われ易いし、わざわざリスクを上げる様な事はしないよ。」
なんて淡々と言葉を紡いだ彼は一呼吸置いてから
「もしかして……本気にした?」
酷く意地悪な笑顔で私を射抜いた
「っ………………」
息が詰まって言葉が出ない
激しいキスに翻弄され彼の妖艶さに酔わされて馬鹿みたいに心拍数を上げた
彼を求める本能と身体に気付きながらも理性で抗った
………………………全ては只の戯れだったのだと目の前の彼の表情で気付いた今
泣き出してしまいそうな程羞恥が込み上げて暴れ回りたい気分に成った
私が受け入れていたならばどうする気だったのだと怒鳴り付けてやりたい……………
思慮深く観察力に長けた彼の事、私が彼を求める気持ちを無理矢理に押し殺した事
身体は素直に反応し、真っ赤に染まってしまっていた事
そしてこのシチュエーションで私がNOと言う事迄見越した悪戯
……………悪趣味にも程があるっ!!!!!!!
私は本気でドキドキして乙女心を揺さぶられた
片や彼は動揺と誘惑に揺れる私を余裕たっぷりにからかっていただけなんて……………
「……………もうっ最低!!!」
思い切り振りかざした腕は彼の素肌にぶつかって派手な音を経て、鈍い痛みが腕に走った
屈強な彼VS怒り狂った私の腕は簡単に私の敗北を知らせた
「~~っ!!!!」
「大丈夫……?」
「………もーっ!!!イルミさんの悪戯最近ほんまに意地悪ですよ!!!」
腕を擦りながらも思い切り睨み付ければ優しく唇を奪われる
「っ…………!!!」
触れるだけの優しいキスにフリーズする私に
「これからも悪戯はしたいんだけど………ダメ?」
なんて不安気に瞳を向ける彼は目が眩みそうなくらいに美しく
そしてそんな純粋な表情の下できっと私が受け入れるだろう事を踏まえた余裕を漂わせる彼に
「……………程々でお願いします!!!」
なんて流されてしまう私はこれからも彼の淫靡で意地悪な悪戯に振り回され続けるのだろう
潔癖な迄に美しい無表情の下に妖艶な色を隠した小悪魔は人の気も知らないで
「配慮するよ。」
なんてポツリと呟いたのだった