第54章 私の見解 彼の分析

「良いけどメンズ用だから沙夜子は着れないんじゃない。」


親切心から指摘したその時だった

彼女の表情が困惑に染まる


………………………成る程。

やはり下らない事を考えてニヤニヤと笑っていたらしい

彼女の魂胆が手に取る様に理解出来た


…………自身に着せる気だ。





「…………イルミさんに着ていただきたくて…………」



予想通りの言葉に呆れる


彼女の趣向が理解出来ない




「………………どうして」



男の自身にこんな服を着せて何が楽しいというのだろう

彼女が着ると言うならまだしも全く理解出来なかった


スマホを彼女に返却しながらも溜息が漏れる


よくも毎度下らない事を思い付くものだ


…………自身のこの反応に理解不能な反論を展開して来る事は目に見えている


さて、どうするべきか




「絶対似合うじゃないですか！！！！！！見てみたいんです！！！！！お願いします！！！！」


「嫌。」




やはり彼女は身を乗り出して反論を開始した


絶対に似合うというのは彼女の持論であり客観的な物では無い

何故そこまで熱くなれるのかも理解不能だが

何より必死な様でいて自身が折れる事を期待する眼差しに気付かないとでも思っているのだろうか



「っ……なんでですか！！」


「絶対変だから。」


「っ……！！！！良く言えましたね！あんな胸元の開いたセクシーチャイナ着てるのにっ……！！！」



彼女の言葉に疑問が生まれる

セクシーかどうかは置いておき、チャイナ服というフレーズに思い浮かぶのは趣味の悪い仕事服の一着だけだった