ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第11章 色の無い世界での一週間
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俺は異世界で初めて他人を好きに成った
沙夜子という無邪気に笑う女性に恋をした
自分で考えてみても似合わなくて気持ちが悪いけど初恋というやつだ
初めは単純に馬鹿で殺し易そうだと思っていた
会話した第一印象もやはり同じだった
しかし日を重ねる内に好奇心が沸いたのを覚えている
目まぐるしく変わる表情はいつも忙しなく、しかし呆れる程呑気な彼女に随分と振り回された
酔うと途端に近い距離は他人との接触が苦手な自身には苦痛かと思わせた
しかし、その実苦痛は微塵も感じずある種の心地好さすらあったのだ
不思議だった。
不思議で仕方なくてその理由が知りたくて彼女を見た
真剣な横顔や眠って口を開いている姿、寝起きのボサボサの髪、料理を作る背中、だらしなく笑う顔
不思議で仕方なくて彼女の言葉を聞いた
下らない話しばかりで的を得ない会話は何時もの事で彼女は聞いてもいないのに自分の趣味趣向について良く話した
そんな話しは全て下らないと思っていたのに何時までも頭から離れない
……何故………どうして…………俺の中に居座らないでくれ………
すやすや眠る彼女を殺めてしまおうか
彼女と一緒に居たならば自身がおかしくなってしまう………
しかし、伸ばした手は思考とは裏腹に柔らかな頬を優しく撫でた
心臓が早く血液を送って胸が暖かい
………何………これ…………