ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第11章 色の無い世界での一週間
父親とは良いビジネスの付き合いをしているし仕事に関しての嘘は命を落とし兼ねないリスクを孕んでいる
しかし彼女の事は話したく無かった
知られたとて手出しは出来ない。それでも話す事で踏みにじられるのを恐れた
「………お前が今吐いた言葉は事実か?」
父親の殺気が増して肌がビリビリと痺れる
「事実だ。」
言い切れば殺気は小さな物になった
「………そうか。今回は目を瞑ろう。………だが、次に連絡を寄越さず消える事は許さんぞ」
「うん。」
「お前の使命は何だ」
父親は俺の名前を呼ばない
そんな事はどうでも良い事だった筈なのに彼女に名を呼ばれ過ぎてしまったのか感じた事の無い感覚がじわりと生まれた
「俺の使命はゾルディックを守る事、弟達の手本となり導きとなり指導する事」
「………そうだ。お前はゾルディックを育成する物だ良く覚えておけ。軽率な行動は控えろ」
「解ってるよ…………それより身体が鈍ってるから地下で仕上げたい。1ヶ月と取らないよ。その後は入ってる仕事全て俺に回して」
「………あぁ。」
父親の返事を聞きながら地下へ続く道を行く
(……………俺の使命……か…………)
疑問すら感じた事は無い。
跡継ぎのキルアが生まれた時に与えられた使命は今も変わらない
それなのに何故か苦しい呼吸
(………………標高が高いからかな……)