ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第53章 早口のヒトコマ
彼が拗ねてしまえば早口遊びは終わってしまうからだ
私は彼が可愛いから笑ったのであって決して馬鹿にした訳では無いのだが私の"可愛い"の言葉や意味合いはどうやら彼には巧く伝わらないらしい
……………本当に変な所で頑固な人だ
なんて思いながらも息を吸い込んだ
「今日の奏者はそしゃじゃじょ………。」
細められた瞳が思い切り私を見下しているのが解った
「何?じゃじょって。」
……………彼は定期的に私を見下す節がある
「言えないんです!!!」
「ふーん。」
意地悪に歪んだ口元が腹立たしい
何事にも向き不向きがあって当たり前だ………なんて考えていると
「豚が豚をぶったのでぶたれた豚がぶった豚をぶった豚、豚が豚をぶったのでぶたれた豚がぶった豚をぶった豚、豚が豚をぶったのでぶたれた豚がぶった豚をぶった豚……………はい、言ってごらん。」
彼は突然テレビ番組では紹介されていない早口言葉を口走った
正直早過ぎて何を言ったかすら聞き取れない
………豚が何………?
「ちょっと、ゆっくりお願いします!聞き取れません!」
「豚が豚をぶったのでぶたれた豚がぶった豚をぶった豚。」
「豚が豚をぶったぶた……ので………ん………?!」
「そもそも覚えられないなんて論外だね。」
「初めて聞いたんやから仕方ないでしょ!!」
「別に良いんだけど………それよりさ、もう一度奏者のやつ言ってみてよ。」