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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第11章 色の無い世界での一週間







元の世界に戻ってきて一週間が過ぎた


何もかもが色褪せた彼女の面影の無い世界



身体を鍛え直すと言って籠った独房で血を吐き出す

致死量を超えたクロロホルムだが臓器を少し傷付けただけで死には程遠く余裕すら感じるくらいだ


「次の毒お願い。」



言えば執事が運んで来た瓶の中身を一気に飲み干す


苦味で舌は麻痺して味覚なんてまるで無くなり血液の鉄臭さすら感じない


元の世界に戻った俺は真っ先に自宅に戻った



一年間行方不明だった俺に母親は金切り声を上げて鞭を振り回した


無理もないそれだけ仕事に穴を開けたのだ


ぼんやり鞭に打たれながらもどれだけの仕事を残していたのか思い返していると父親に別室に呼び出された


只でさえ灯りの無い家の中でも暗い廊下を行き、突き当たりの鉄の扉を開くと父親は椅子に座ったまま殺気を向けた





「何。」


「………何、とは随分だな。……仕事を放り出して消えていた理由を答えろ」


鋭い眼光が向けられる


(………相当お怒りだね………)



「ターゲットと交戦に成った。かなりの手練れで一人ではリスクが高いと判断して身を引いた」


「………続けろ」


「油断はしていなかったけれど負傷したから身を隠したかったんだよ」


「………暗殺こそが全てだ。気取られ、交戦に成った時点でお前は暗殺者として未熟だが手練れなら時折ある事だ。判断は正しい。だが……何故一年間連絡も寄越さずに潜伏していた」



「それだけの怪我だった。」


俺は嘘を付いた。
思っても見ない嘘だった。



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