ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第52章 雄大な自然
儀式が続く最中
私は現実逃避から空を見上げていた
満天の星空は腕を伸ばせば掴めそうな錯覚をする程近くに見えた
今までの人生の中でこんなにも綺麗な星空を見たことがあっただろうか
数々の恐怖体験を乗り越えた私の身に染々と染み渡る美しい星原は宝石箱を覗いている様な輝きを放っている
「………綺麗………」
「うん。」
私があまりにもなんちゃらモンキーに興味を示さないからか彼は得意気な説明をやめた
キラキラ瞳を輝かせる彼には申し訳ないが怖すぎて芝居も打てそうに無かったのだ………
響き渡る高笑いでどうにもドラマチックには思えないが彼とお揃いの空を眺めているという事実は幸せなものだった
……………これで二人きりならキッスが出来るかもしれないのに…………
不気味ではあるが相手が只の猿だと解ってしまえば俄然強気である
(………早く宴を切り上げて森に帰れっ!!!そして私の前に二度と現れるなっ!!!)
真っ向から勝負は挑めそうも無いが心の中で悪態を付きまくっていると
空を遮る様に上空を大きな影が横切った
そのシルエットは映画でいつか見たものとそっくりだ………
私の頭の中にジュラ○ックパークのBGMが鳴り響く
「………今プテラノドン飛んでませんでした………?」
元の世界でそんな事を発言したならば私はおかしな人物だろう
しかし彼はその生物を知っているらしく口を開いたのだが
「あぁ、あれは『あ"あ"あああああああああああああああああああああああああああああああ"』
彼の声は突如響いた奇声に掻き消えた
「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!!!」
立派な一軒家程ありそうな影の正体はやはりプテラノドンのような古代生物を連想させた
しかしその驚きや感動は微塵も無く
目の前を通り過ぎた巨大翼竜は宴を続けていた猿を片足で軽々鷲掴んで行ったのだ
時間にすればほんの数秒の出来事はかなりショッキングなものだった