ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第52章 雄大な自然
ガバリと起こした背中に変な汗が一斉に噴き出す
「………い、いつからそこに………」
「…………まるで忠犬ハチ公だよの辺りから」
うああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ!!!!!
………最初からバッチリ聞かれていた
彼は少なからず私を変な奴だと思っているだろう事は薄々感じていたが
細められた瞳は完全に不審者に向けるそれだった
私は彼に誉められたいという純粋な乙女心から妄想に浸ったのだ
決して不審者では無い!!!
可愛いと思われたいという妄想がもたらしたのは残酷な現実だった
…………何とか弁解したい
「違うんです!!!これは………可愛らしい妄想と言うか………!!!」
「………可愛らしい?」
「イルミさんに言って貰いたい事を自分で言ってみたって言うか!!!!」
「は?」
「理想を口に………!!!」
「沙夜子は忠犬ハチ公だよって言われたいの?俺に?」
「いや、そこだけじゃなくて!!」
「……馬鹿じゃないの。」
「っ…………」
「沙夜子って心の病でも患ってる?」
「患ってませんっ!!!!」
弁解は虚しくも叶わず彼は終始冷めきって背筋も凍えそうな視線を私に注ぎ続けた
心を患っているのは私では無く断然誰が見たって彼の方だし
仮にも彼女に対して容赦ない物言い過ぎるが私は多大なる精神的ダメージから口を開くのをやめた