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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第52章 雄大な自然





そんな緑の風に吹かれ艶のある長い髪を靡かせる彼は遠く空を見上げながら眩しさに瞳を細めていてなんて美しい人なんだろうと思った

整った顔立ちは作り物の様で表情に乏しい

しかしながら静かに流れる時の中で彼が今穏やかな気持ちなのだろう事は気の抜けた口元や鋭さを含まない眼差しから感じ取れた

他の人が見たならば無表情だと片付けられるだろう

私の憶測が正しいかは解らなくても本当に些細な表情の変化に気付ける距離に自身はいるのだと思えば心の底から幸せだと思えた


「見て、綺麗な蝶がいる。」


なんてぼんやり言った彼は目をまん丸にして視線で蝶を追い始めていて


……………可愛いっ!!!!!!

……………なんだその目はっ!!!!

……………まるで黒猫さんでは無いかっ!!!!


なんて内心荒ぶりながら蝶そっちのけで彼をガン見していたのだが


「1mくらいあるかな。」


という単調な声に私の背筋は凍り付き、向けた視線の先


馬鹿みたいに大きく毒々しい紫の蝶に私は悲鳴を響かせたのだった


_________"


空が夕焼けに染まる頃彼は突然夕飯を調達して来ると言って深い森に消えて行った


お弁当はお昼の分しか用意しておらず今晩は勝手に断食かと思っていたがまさかのワイルド発言にお弁当をもっと沢山用意すれば良かったのでは


……………とは言えなかった。



キラキラ輝く瞳に何処か得意気な表情


アウトドアな事を好まなそうな彼だが意外にも思い切り楽し気な雰囲気なのだ


彼からしてみれば森のど真ん中でのキャンプだって安全なキャンプ場と変わらず

きっと仕事の関係上、野宿はしてもキャンプなんて初めての経験なのでは……なんて思った

ゾルディックの皆様が勢揃いでBBQをする姿なんて想像するのも難しいし

ましてやテントで御就寝になる姿等少しもイメージ出来なかった




(…………………そう言えば…………)



彼が突然キャンプに私を連れ出した理由に心当たりを見付けた

数日前テレビの情報番組でキャンプ特集なんてものが流れていた

私は夕飯の準備中でキッチンからチラリと認識する程度だったが彼は噛り付く様にテレビ画面に見入っていたのだ

テレビっ子だと知っているので特段気に止める事無く微笑ましく思っていたが

キャンプの映像は彼のハートを掴んだのだろう



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