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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第52章 雄大な自然







彼は私が楽しくて喜んでいると勘違いしたのだろう

洞察力に長けている彼だが天然にも程がある


まだ私は森にやって来てから楽しいと思える出来事は何一つ起こっていないのだ


「疲れたでしょ。お弁当食べよう。」


なんて言いながら私の背負っていたリュックを勝手に漁りウェットテッシュで手を拭っている彼を見詰めながら私は静かに頷いたのだった



_________"



人里離れた山の中

動いていれば汗はかくがじっとしていれば涼しい風が吹き、嫌な湿気も無いのでテントの中は意外にも快適だった


……………驚愕し、困惑していても楽しめない


帰りたくとも帰れないのだ


テントの中には律儀にタオルケットと枕が二つ用意されていた


お泊まりは確定なのである


私は今の状況を楽しもうと考えを切り替えていた



……大好きな彼とキャンプだなんて素敵では無いか……!


普段インドアな私を空気の綺麗な自然の中へ連れ出してくれたのだ

屈強な彼は遺憾無くその身体能力を発揮して私の為に道を切り開き虫を跳ね退けて快適な寝床迄用意してくれた

正直滅茶苦茶怖かった道中だが彼が着いていれば何があったって平気だと思える

まるで二人だけの離島にでもいるかの様な錯覚をしてしまう今だからこそ

そういう彼の頼もしさも再確認出来ている訳で


お弁当を上品な所作で平らげて"美味しかった"と言った彼の横顔に自然と頬が緩んだ


…………今の時間は今しか無いのだ


大好きな彼と過ごせる今を大切にしたいと思った




しかし彼が私に見せたい動物とは一体どんな動物だろう

わざわざこんな場所に来て見るのだから適当に通りすがりを待つなんて事を彼がするとは思えない

そこから推測するに何かしら特定の動物を狙って来ている可能性が高い様に思った


少し考え方を変えただけで簡単に弾む胸


私は本当に単純な奴だと思うが全く持ってそれで構わない


先程迄鬱蒼としていて不気味だと思っていた木々も今は木漏れ日を揺らす雄大さに見惚れている




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