ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第51章 動物園へ行き…………ましょう……?
正確には彼が 行こう と言った時点で決定だったが私の中で理解が及ぶ迄山の中に動物園があるのかも……なんて淡い期待を捨てきれずにいただけだが
ジープに乱暴に揺られて道なのかも解らない場所を走る今の状況はカップルらしいデートどころかレンジャーさながらの冒険部隊だ
動物園だけで大満足出来る私をわざわざ森迄連れて来るなんてイルミ隊長は少々………いや、かなりクレイジーである
(イルミ隊長………沙夜子五等兵は帰りたいであります………。)
………なんて言えない
彼なりの気遣い…………優しさでは無いか…………
彼は動物を見れるとあらば私が手放しで大喜びすると思っているのだろう
…………泣きそう。
_________"
そして現在に至る訳だが
深い森を随分と進んだジープは唐突に停車した
「よし、この辺から歩こうか。」
「…………え、………」
「ん?」
車体よりも背丈のある草が覆い茂る森のど真ん中
野生動物を見るという事にも驚いていたのに歩くだと………!?
私はてっきり車内から動物を眺めるのだと思っていた
どう考えたって徒歩で進めそうも無い環境やジープが保護色の迷彩柄だった事も私にそうおもわせていたのだが
可愛らしくクリっと首を傾げた後に躊躇無く扉を開いた彼はビュンっと一振り腕を振って辺りの草を切り倒した
呆然としたままその様子を何処か俯瞰で眺めていた私は勿論助手席から動けずにいた
扉を開いた所で私は彼の様に伐採技能を持ち合わせていないし地に足を付ける事も儘ならない
従ってじっと座っている他無いのだが
いつの間にか恐ろしい速さで辺りの草を一掃した彼は事も無さ気に後部座席を開くと大きな袋を肩に担ぎ助手席の扉を開いた
其れが何なのかは聞かなくても薄々気が付いたが今の状況から逃避したい一心で脳内にサザ○さんのオープニングを流す私に確認する勇気は無かった