• テキストサイズ

ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第51章 動物園へ行き…………ましょう……?






暗殺者でありご実家には内密な私との行動にこんなにも目立つ車を選ぶだろうか………?



「しっかり掴まってなよ」



なんて言う彼を視界に入れた途端


大きな揺れに悲鳴にも似た声が漏れる


ジープは事もあろうに鋪装された道路を行かずにデコボコな道無き道を進み始めたのだ



「!?!?」



葉が車体を擦れる音が煩いくらい耳に付き設置されたドリンクホルダーがカタカタと揺れる


珍しく両手でハンドルを握った彼は無言のまま車を前進させて
私が呆気に取られている間にもジープはより深い茂みへとガタガタ賑やかに進んだ




動物園へ行く……………?


そもそもの間違いはそこにある?!




「………あの………」



「舌噛むよ」


言葉を発せば震え声に成る程に揺れる車内で私は嫌な汗をかき始めていた



彼は部屋で何と言っただろうか……


動物園に行くとは確かに一言だって言っていない


彼は"動物を見に行く"と言ったのだ


そして木々が悠々と立ち並ぶ森を進む車に揺られる私達


私は確信めいた何かを感じていた



「…………イルミさん………動物見に行くって………野生の………」


野生の動物を見に行くと言うのなら今の状況も辻褄が合う


脂汗が噴き出す中私は激しくぶれる視線をじっと彼に向けていた


私は虫が苦手だ


従って自然の中は苦手である


動物は大好きだ


猫や犬なんかの身近な動物は勿論


野生動物も大好きだ


大好きだが



実際自身が足を運び、見に行くというのは話しが違う


私は野生動物を動物園やテレビで見られればそれで良いのだ


要は危険の無い安全な場所から愛でていたい


恐る恐る紡いだ確認の言葉に




「うん。」



騒音だらけで煩い筈の車内で彼の凛とした声は何故か響いて聞こえた


……………野生動物を見に行く


それが今ここで決定した。




/ 1349ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp