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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第51章 動物園へ行き…………ましょう……?







ピクニック同様狭いキッチンに並んで一緒にお弁当を作った


「だめイルミさん!!!!」


「え。」



「あ"ー!!!!」


彼が生玉子をレンジで熱してしまって爆発したり


「イルミさん!!!!」


「ん?」


「手!火傷!!!」


「あぁ、少し赤くなるだけだよ。」


グラグラと煮える鍋を素手で掴むものだから随分と慌ただしいクッキングだったが無事完成し部屋を出た


「ここで待っていて。」


フロントでそう言った彼に頷いた


陽に焼けて色褪せたアーガイルチェックのソファーに腰掛けてそわそわと身体を揺らす

可愛いヒヨコ柄の巾着を片手に出て行った彼の背中を見送りながらその不釣り合いな荷物に笑みを漏らした



どれだけそうしていたのか時間にすればほんの数分、ドアベルの音と共に彼は顔を覗かせた


その長さを強調する様にピッタリとしたジーンズにVネックの黒いTシャツを身に纏った彼


印象的な瞳に私を捉えて


「行こう」


真っ直ぐ私だけに向けられた言葉にドキドキと胸は高鳴った


男性にしては繊細で美しい手が伸ばされ只息を飲む

僅かに細められた伏し目がちな眼差し、薄く色付いた唇がぼんやりとした意識の中私の名前を呼んだ

恐ろしいくらいに整った姿形を持つ彼が私を視界に入れて私に言葉を投げ掛けているのだと思えば不思議な感覚に陥る


異世界での何気無い日常の中でも時折痛感する彼の美しさはやはり初めの頃と変わらず私を高揚させるのだ


「………沙夜子、真っ赤に成って無いで行くよ。」


溜息交じりに呆れ顔を向ける彼の手を握る


「イルミさん……ほんまに美形ですよね……」


「沙夜子だけだよ、そんな事言うのは。」


なんて会話を交わしながらも見るからに高級そうな白い車へスマートにエスコートしてくれる彼に私は幸福の溜息を付いた


どう見たって美形な彼が誰にもその容姿を誉められないというのはきっと人を寄せ付け無い雰囲気が原因なのだろうけど

これからも私にだけ誉められていて欲しい……なんて思ったりした



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