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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第50章 話し合う







「今色々策を考えてる。だから仕事も詰めて家を空けられる様に準備も進めてる、全てが巧く行くかは不明確だから沙夜子に話せるのはここまでだけど。」


「………そんなん………いつから……」


「沙夜子に再会した時から。」


「私………知らんかった………」


「話して無かったからね。」



勝手に勘繰ってそれら全ては全くの間違いだった


普段を取り戻した無表情から穏やかな声が紡がれるのを私は只見詰めて溢れてしまいそうな涙に俯いた


途端に見た目より随分と逞しい腕に引き寄せられて包まれる


私の世界では彼の憂いや迷いを私が私の涙を彼が見て見ぬフリを続けて来た


別れの時を話すのはいつの日か暗黙の内にタブーと成りお互いに平静を装っていた



「俺に任せて、巧くやるから。」



嬉し涙を流す私、優しく言い聞かせる彼の姿はやはり以前よりもずっと近くて


悲しいくらいの素知らぬフリはもう必要無いのだと思えた



_________"




暫く泣き続けた私を彼は只穏やかに抱き締めてくれた


彼は仕事の帰宅時間も私には教えない

不明確な事は決して語らないのだ


彼が考えている策もまだまだ現実的では無いのかも知れない


しかし私達は同じ気持ちを抱えていて彼は漠然と存在する別れに対して抗う素振りを見せた

其れだけでも大きな変化で


私達はこれからも一緒に居られるのだと、僅かでも希望を見出だす事が出来た

そして何より彼の気持ちが嬉しかった




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