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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第50章 話し合う







「……今イルミさんが考えてる事話してもらえませんか………」



キッチンカウンターにマグカップを置いて隣に座ると真っ直ぐに見詰め合った私達


時計の秒針と親方の回し車の音をやけに大きく感じる



静かな間は私に話すべきかという彼の葛藤の時間だったのかもしれない


唇を開いた途端彼の瞳は引き摺り込まれそうな程の暗闇を浮かべたのだ


ゾクゾクと悪寒にも似た感覚に鳥肌が立つ


「廊下でヒソカと会ったよ………沙夜子の悩みを聞いたって。」


「…………はい」



「俺が知らない間に随分距離を縮めたんだね。」


「…………」


「………俺は一度だって沙夜子の悩みを聞いた事が無い。」


「…………」


「……どうして俺じゃ無くてヒソカだったの………?」


真っ直ぐに射抜く瞳に普段の余裕は微塵も無く、まるで幼い子供と話しているかの様な錯覚をする

寂し気に揺れる瞳



「………イルミさんが勿論一番大好きで大切です。でも、本人には話し辛い事ってあるでしょ?」


「俺は無い。………俺には沙夜子以外にいないから。」



私は彼に甘えたい、なんて少し恥ずかしい相談をヒソカさんにした


今までの人生、本人に話し辛い話しは相談という形で信頼の置ける友人にしてきた

大体"貴方に甘えたいけど素直に甘えられない"なんて彼を目の前にして話せるだろうか

そんな奇妙な事をするならば胸に秘めている方が良い


それが私の中の当たり前だった



しかし彼には些細な悩みすら打ち明ける相手は私しかいないのだとこの時初めて気が付いた




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