ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第49章 あからさま
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ガチャリと開いた扉を振り返れば無表情に彼が立っていた
「お帰りなさい!まだ夕飯出来てないんですけど今作ってますからね!」
まだ夕焼け色の空
思いの外早い帰宅に嬉しくて堪らなく成った
フライパンを扱っていなかったなら即座に抱き付いていただろう
「今日は豪華に作ります!」
何てったって彼が私の手料理を楽しみにしているのだから!!!なんて俄然力がこもっていた
しかし先程から私の言葉に返事は無く不思議に思っているとガシャンと物凄い騒音に驚いてリビングを振り返る
ローテーブルは粉砕され乗っていたマグカップが粉々に割れていて
私は突然の出来事に目の前の状況が把握出来ず声も出なかった
只硬直して目を見開いている私とは相反して犯人確定な筈の彼は静かに佇んでいた
「……イルミさん……?」
コンロの火を止めて只彼を見詰める
突然の破壊行動に困惑が募る中
「何?」
普段と変わらぬ間の抜けた声で返事を寄越した彼は目にも止まらぬ速さでソファーを蹴り上げて真っ二つに割ると背もたれ部分をズタズタに引き裂いた
「っ…………!!!」
平静を装っている彼だが行動の異常性から相当な不機嫌なのだと理解する
彼が破壊した物は全てヒソカさんが使用した物だと気付いたのだ
その証拠に私が使っていたマグカップは無傷で床に転がっていてヒソカさんが使っていたマグカップは原型を留めていなかった
ソファーだってヒソカさんが座った方だけが異常な程に損傷し割れたもう片方は無傷だ
部屋にいた方が良いと勝手に判断した私だがどうやら其れは間違いだったらしい