ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第49章 あからさま
_________"
「やぁイルミ♥️」
「わざとだろ。」
「何が?♥️」
「俺と鉢合わせる様にわざと今出て来ただろ。」
ニヤニヤと吊り上げられた口元に苛立ちを覚える
部屋に二人で居る所を見るよりは幾分マシに思えるが
こんな危険人物を安易に部屋へ招き入れた彼女にも苛立っていた
わざと気配を漂わせた事にヒソカは気付いた筈だ
早急に部屋から立ち去れば俺達が顔を合わせ狭い廊下で擦れ違う事も無かった
「沙夜子ちゃんの相談を聞いていたら少し出遅れてしまっただけだよ♥️」
「相談?」
互いに擦れ違い、背中を向けていたが言葉に引っ掛かりを覚えて振り返る
………わざとらしく肩を竦めた男を殺めてしまいたい
「キミに素直に甘えられないって悩んでたよ?可愛いね♦️」
「黙れ。」
相談内容をサラリと口にした事は予想外だったがそんな事よりも気になったのはいつの間に彼女は相談を持ち掛ける程ヒソカに心を開いたのかという事だった
相談とは秘めた思考や感情をさらけ出す行為
少なからず信用が無ければ成立しない
更にはその内容が恋愛に関する事というのも自身を焦らせた
異性間で相談をするという事は異性だからこそ違う見解の意見を聞くという事に成る
そうなれば彼女はしっかりと異性としてヒソカを認識し、その上でその内に秘めた思考を打ち明ける
ヒソカをより一層強く異性として意識するだろう
更には恋愛相談の類いは必然的に色恋の話しに成り相手の価値観を聞き異性としての魅力に気付くきっかけに成りやすい
色恋の話しをしているのだから然り気無い流れで雰囲気も作り易く容易く相手の懐に潜り込めるだろう
ヒソカが個人的に彼女に興味を示している現状を認知している今
相談を聞いたという事態は一段深い仲に成ったという事を表していた