ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第48章 良き友人
一瞬にして色を変えた空気に持ち上げたままのカップを置く事も口に運ぶ事も出来ずに硬直していると
「ごめんごめん、この間殺った相手を思い出しちゃって……怖がらせちゃった?♥️」
困った様に微笑まれて私は思い切り引き吊った笑顔を浮かべた
……………命を助けてくれた頼もしい友人
……………しかし目の前の友人は猟奇的な殺人者なのだという事を深く心に留めておく事にした
恋人も暗殺者なので似通ってはいるが彼とヒソカさんとは異常性の種類が違う様に感じる
なんて考えていると直ぐ側からギュッと鳴ったソファーの軋む音に
先程より随分と近い距離にヒソカさんの男性的でセクシーな顔が近付いていて驚きで固まってしまった
しかし私が何故逃げ出したりしなかったかと言うとヒソカさんは身体を寄せ距離を詰めたのでは無く、上半身を傾けただけだったのだ
真っ直ぐ落とされる妖艶な視線に耐えきれず俯くと
「大人の女性の香りに成ったね……沙夜子♥️」
なんて言葉が降って来て脳裏に過ったのは彼と結ばれた事だった……
ガバリと顔を上げればヒソカさんは元の姿勢に戻っていて喉の奥でクツクツ笑っている
瞬間私は顔中が熱く成った
大体私は以前から成人しているし一応大人の女性だった
其れを大人の女性の香りに成ったなんて……
………香りで解るとは今私は一体どんな体臭を放っているんだ!?!?
しかもわざわざ言わなくても良い……!!!!!
「セクハラはやめてください!!!!」
軽く混乱する頭をそのままにテーブルを強く叩けばヒソカさんはカップを傾けながらしゅんと肩を竦めた
………ヒソカさんから漂う妖艶さは普段からの物で無意識的なものだと私は思う
「ところでさ♥️」なんてニッコリ笑顔のヒソカさんを見て少々過敏に反応し過ぎただろうか………なんて罪悪感が込み上げた
別に直接的に卑猥な話しをされた訳でも質問をされた訳でも無い
なんならクロロさんの方がヤっただの誘えだのデリカシーの無いセクハラ発言をしていた事を思い出す
私がここまでヒソカさんの接触や言動に過敏反応してしまうのは他でも無いヒソカさん本人が仕出かした事が原因だが
無意識下でクロロさんは平気という線を引いていた事に自分でも驚いた