ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第48章 良き友人
これなら私にもお礼が出来るし執拗に外出を制限する彼にとっても部屋に居る方が良いのでは無いかと思ったのだ
帰宅兼報告メールを送信してブラックコーヒーと紅茶を手にソファーに腰掛けた
「ヒソカさんお元気そうで何よりです!」
「ボクはいつでも元気一杯だよ♥️…………それより沙夜子からお誘いの連絡が無いから寂しかったよ……」
カチャンとカップの音だけが鳴る室内で私の弾んだ声にヒソカさんは眉を下げてしょんぼりとした
大きな骨格に立派な筋肉のヒソカさんが妙に小さく見えて私は慌てふためいた
「わ、私は毎日暇やけどヒソカさんはお忙しいでしょうし!頻繁に連絡するのもどうかと…!!」
瞬間クツクツと喉の奥で笑う声にじっと切れ長の瞳を見詰めれば
「ありがとう、でもボクもわりと暇だよ?♥️」
ヒソカさんは心底面白そうに笑った
しかしわりと暇だと言われても私と違って仕事もあるだろうしやはり不必要に連絡するのは憚られる
「ヒソカさんだって仕事があるでしょ……?」
「そんな物よりボクは沙夜子を優先させるんだケドな♥️」
なんてコーヒーカップを傾けるヒソカさんをじっと見ながら私は驚愕の事実に気が付いた
ヒソカさんの仕事がそもそも何なのか私は知らない………!!!
私達は友達に成り立てだし、まだお互いを良く知らない
ヒソカさんも彼と同じで全く私生活の見えない相手だ
職業も知らない友人とは真の友と呼べるだろうか………
私はストレートに聞いてみる事にした
「…………ヒソカさんって何してる人ですか………?」
「奇術師♥️」
「……………。」
「……………♥️」
………………解らない………………
そもそも奇術師がどんな職業なのか全く解らない……
イメージとしてマジシャン的なもので間違い無い筈だが……妙な間を使った後に「へぇ~」なんて頷いてみる
そんな私の様子にまた笑い出したヒソカさんに只真顔を向けていると
「………て言うのは表の顔で殺しの依頼なんかもあるからイルミと大差無いかな、ボクはフリーだからたまに雇い主まで殺っちゃうけど♥️」
口元に笑顔を張り付けたままゾクリと背筋が跳ねる様な妖しく光る瞳で私を射抜いた