ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第48章 良き友人
ニッコリ微笑むその顔にいつもの特徴的なメイクは無く風に揺れる髪がセットされていない姿は沖縄旅行を思い出させた
「ヒソカさん!お久しぶりです!」
「久しぶりだね、元気だったかい?♥️」
しかしあの頃と違っているのは心の距離だろう
あの頃は私に警戒心があったしヒソカさんも今の様に善良なお友達では無かった
…………時の流れとは不思議だ
「沙夜子はいつから外出OKになったの?♦️」
「この村に来てからです、もしかしたら他に移ったらまた外出禁止かも……あ!」
「?♣️」
私は慌ててスマホを取り出し彼へ報告のメールを打ち始めた
ヒソカさんと会ったら報告……これを当然ながら忠実に守ろうと思う
『買い物中、ヒソカさんに会いました』
と打っておいて目的の人物は私だったのだろうかと隣のヒソカさんを仰ぎ見た
もしこの村の誰かに用がありたまたま私を見掛けただけで私が勝手に遊びに来たのだと勘違いしている場合非常に恥ずかしい
「あの、遊びに来てくれたんですか……?」
「勿論、沙夜子ちゃんに会いに来たに決まってるだろ♥️」
言いながら軽く頭を撫でられ安堵する
私の勘違いでは無いらしい
『このまま遊びに行きます!』
続きの文字を打っていると陽の光りを遮る様に影が落ちて視線を向ければ腰を屈めてスマホ画面を覗くヒソカさんの横目と目が合った
「イルミに連絡?♣️」
「はい!これがヒソカさんと遊ぶ条件です!」
「条件……ねぇ……♦️」
そんな呟きを聞きながらも無事送信し、私達は一先ず宿泊中のホテルへ向かった
買い物後だった為に様々な食材を持ったまま長時間外出してしまうと生肉が傷んでしまうと私が提案したのだ
部屋の扉を開いて招き入れる
「お邪魔します♥️」
途中買い物袋を全て私の手から浚ったヒソカさんは部屋を見渡すとキッチンに袋を置いた
「すみません!ありがとうございます!」
「いいんだよ、これくらい♥️」
「せっかくやしコーヒーか紅茶如何ですか?私現金は買い物用しか無いから何かをご馳走したり出来無くて……細やかながらお礼に」
「じゃあお言葉に甘えて、ボクコーヒーが良いな♥️」
微笑むヒソカさんをお礼も兼ねてお茶に誘った