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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第48章 良き友人






「どんなお料理にしたら美味しいですか?」


「牛肉と煮込むと良いよ」


丁寧にレシピを教えてくれるおばさんの前でメモを取るのはいつもの事で最初こそ少し驚いた様子だったおばさんも今は何処か優しい眼差しを向けてくれる様になった

文字は勿論ハンター文字

勉強して来たし漫画も読めるがやはりスムーズに書く事にはまだ慣れず

これも勉強だと必死にペンを走らせた


「ありがとうございます!」


「いーえ、またね!」




…………笑顔で手を振れる事が素晴らしい


少し前まで閉鎖的に人との接触の無い日々を送っていた私にとって道を歩き日射しを感じ人と何気無い会話を交わす今は充実感に溢れていた

その上彼とはラブラブな恋人同士な訳で………私はこんなに幸せで良いんだろうか…………


見上げた空が青い


しかし僅かに濃さを失った青に薄く低い雲の流れは夏の終わりを告げていて秋の訪れを知らせていた


賑やかな露店商にてどこか遠くに雑踏を聞きながら時の流れに胸が痛む


……………一度知った恐怖は更に深く成る


今の幸せも永遠では無いのだ


約一年間の時間、恋人に成って私達は一体何処へ向かうのだろう……

彼は何を考えているのだろう……


"いずれ別れるのだから気持ちは秘めたまま"


私の世界で二人過ごした日々で暗黙の内に守っていた一線を越えてしまった


別れが辛くなるから、彼に迷惑に成るから伝えられない気持ちだった筈が私達は惹かれ合い突き進んでしまったのだ


一秒一秒迫る時間の中で只漠然と不安や悲愴が渦巻いた



「こんにちは♥️」



「………こんにちは」



不意に投げ掛けられた言葉にぼんやり返事をしてから立ち止まる


「!!」


「やぁ♥️」



人混みの中でも一際目立つ雰囲気に二度見した先
ぴったりとした黒のTシャツにジーンズとラフな出で立ちでヒソカさんが立っていた



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