第46章 触れ合った想い

やっと整った呼吸を見計らいゆっくり沈められる腰に私は再びシーツを握る


私の様子を伺いながら徐々に押し入る感覚がぴったりと隙間無く触れ合っても彼は暫く私を優しく抱き締めたままでいてくれた


間近で見詰め合えば柔らかく微笑んだ彼の顔


"愛してる"と空耳でも聞こえて来そうな表情に言葉に成らない感情は涙となって目に浮かんだ


私の緊張や身体の強張りを解く様に甘く優しいキスが落とされた後彼は再び酷く愛欲的な瞳を覗る



「動くよ」



上体を起こした彼はその言葉を合図にゆっくりと腰を動かし始めた

彼の腕へ手を伸ばせば彼はしっかりと私の手を握り締め指を絡める


最初は圧迫感を強く感じていた筈がいつの間にか僅かに快感が生まれ始めた頃

彼の旋律は変化した


途端に今迄感じた事の無い感覚が身体中に走り甘い声が漏れ始める

素肌のぶつかる音に水音が交ざりゾクゾクと粟立つ肌

そして何よりも快楽を煽ったのは初めて見る彼の男性の表情だった



眉を悩まし気に潜めて緩く開いた唇からは短く上がる息
しかしその眼差しは熱を帯びており見詰められるだけで溶けてしまいそうな錯覚をさせる

毒に苦しむ表情とは全く別物の妖艶で淫靡な姿


只一心に私を求める彼の姿に思考は完全に停止して私も只彼を求める気持ちで一杯に成った