第45章 カップルメール

テレビから流れる情報番組をぼんやり眺めながらスマホを握り締める


今はターゲットを観察中なのかもしれない……との仮定から
そうなれば当然電話する余裕なんて無いだろうし構って貰えているだけ幸せだと言い聞かせながらも『パドキアデートスポット』という言葉にテレビ画面をガン見する


リポーターの女性が次々に紹介するスポットはまさにデートスポットのど真ん中で毎週水曜日はカップルデーなんて物もありその曜日に行くとスイーツをサービスしてくれるなんて素敵なカフェや

次々流れる映像の中映った水族館には見た事も無い大きな魚が泳いでいてどちらも大勢のカップルで賑わいを見せていた



そう言えば此方に来てから恋人に成ったがカップルのデートスポットらしい場所にあまり出向いていない様に思った


私の世界にいた頃に水族館や動物園に行ったし
此方の世界でも遊園地やプールで遊んだが王道のデートスポットへ行きたいと思ってしまう

勿論今迄のデートに何の不満も無いし寧ろ大変な幸福に見舞われているのだがカップルらしい事がしたい！という純粋な願望が湧いたのだ

小さなメモ用紙にしっかりと場所を書き留めて彼とのデートを妄想する

水族館を楽しんだ後にカフェ………


「イルミさん！今日カップルデーらしくてスイーツを貰えるそうです！「わーいヤッタネ沙夜子」はい！やりました！……………ふふふふふふふふふふふ」


俯瞰で見ずとも気持ちが悪い事は知っている

妄想全開１人２役をこなしながらもカップルらしいデートは絶対楽しいに決まっているしワクワクと胸が弾んだ