ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第45章 カップルメール
約1ヶ月ぶりの自室にて何をするでも無くソファーに腰掛けた
本心を言うならば即座に屋敷を抜けて彼女の元へ帰りたい
しかし以前ならば自室に籠りトレーニングに勤しんでいた手前帰宅後直ぐの外出は不自然だ
仕事も無いのに何故こんな場所で時間を潰さなければ成らないのか……なんて考えながらも効率的に時間を過ごす為に電気椅子に座り直した
只のソファーで物思いに耽るよりは鍛練に成り幾分か良い
レバーで電圧を調整しながらぼんやり彼女の事を考える
彼女の言葉に流されて外出許可を出してしまったが何も仕出かしてはいないだろうか……
一応毎日電話しているし外出前、行き先、帰宅後の報告はメールで確認している
律儀に購入物とレシートの写真を送信してくるとは思っていなかったが出来上がった料理の写真に彼女の手料理が恋しく成った
次は何処へ出掛けようかとか次は何を見せてやろうなんて事ばかり考えては彼女の事ばかりが巡る中
傍に放置していたスマホが震えて彼女からの着信を知らせた
誰に見られても違和感無い様に情報屋の名で登録した其れを今受ける事は出来なかった
自宅にての通話は電波の出所を探知される可能性を視野に入れている
そんな事はしないと思っていても念には念を……
彼女の声を聞く事も儘ならない今がもどかしく、長い溜息は部屋に落ちる
「………沙夜子」
ポツリと呟いた声があまりにもらしくなくて口を閉じた