• テキストサイズ

ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第45章 カップルメール





9月1日


ククルーマウンテン、ゾルディック家本邸のリビングルームにて父親と顔を合わせる


「ヨークシンへの出張はどうだった」


やけに響く声色に続いて、依頼の詳細を纏めた資料が捲られる些細な物音


「別に何も。」


重なる視線は自身の真意を探る


【彼女の存在を気取られては成らない】


不自然にヨークシンへの出張を決め仕事を詰めた為にその魂胆を見定める眼差し

仕事上の嘘はお互いに命の危機に瀕するリスクが発生する為に慎重に吟味される


今回パドキアに戻ったのは自宅に帰還出来る環境で仕事をする為だった

一ヶ所ギタラクル名義でホテルを借りる事で頻繁な帰宅を避けつつも自宅を使う事で警戒心を解き、目を逸らさせる


「来月も長期出張か」


出張は珍しい事じゃない

依頼は何処からでも舞い込む


しかし纏まった期間を設けてその期間内特定の地で仕事する事は異例だった


「うん。その方が合理的で経費や移動時間も削減出来ると考えた」


父親が違和感を抱いているのはそんな変化からだろう

敢えて1ヶ月の間監視させる

監視しているという安心感を与える事で油断を生むのだ


勿論リスクは格段に上がる

同じ国に彼女は居る

些細な出来事から違和感は懸念に変わるだろう

全ては彼女と自分自身の為に


「この方法は確実な経費削減に成った。無駄なストレスも減るしね。」


髪をとかしながら言えば父親は真っ直ぐに視線を寄越した


「………報告書は受け取った、お前の好きにしろ」


「うん。」


背中を向けて部屋を出る

父親は他に何も言わなかった



………………接近すれば彼女の存在を知られるリスクも高いが家族の動向把握が容易く成り此方としても動き易い




/ 1349ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp