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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第43章 異世界ピクニック






確かに素敵な立地だとは言ったが別に住みたい訳じゃない


「いやいや、人の所有物ですよ住みません」


「そう?遺体も片付けたし内装もわりと綺麗なままだよ。」


ぼんやり言った私に彼は衝撃的な事を口にした


…………遺体………?!?!?!



…………そうか…………彼は仕事で………



…………あの屋敷の住人を…………



「尚更住みませんよ!!!!」


睡魔は一瞬にして吹っ飛んだ

彼は何を考えているのか……普通人が死んだと解っている家には住みたく無い

事故物件というやつでは無いか!

しかも其れが他殺だなんてとんでもない…………!!!!




「此所なら周りに何も無いし沙夜子も外出しないと思ったんだけど残念。」


なんて彼の言葉に私は只黙る事しか出来なかった


………殺人現場に閉じ込められるなんて絶対に御免だ………。




__________"



私達はその後巨木から降りた


降りたと言うよりは彼が私を抱えて飛び降りたのだが私は求めてもいないスリルに泣いた


そして今湖畔にて花を摘んで冠を作っている


発端は私の昔話からだった



「シロツメグサってあって其れで昔お婆ちゃんと冠を作りました!これだけカラフルな花があれば綺麗な冠が出来るでしょうね!」


風に揺れる花は一身に光を浴びて美しく咲き誇り

祖母に連れていってもらったピクニックでシロツメグサの冠を作った事を思い出したのだ

こうやって昔作った、と瞳を細めた祖母に私は冠の作り方を教わった


「花の冠………どうやって作るの?」


瞳をクリクリさせながら私を見遣る彼が可愛くてお手本を見せる


「俺も作る。」


あどけない表情で花を摘む彼の横顔に幼い自身を重ねて祖母もこんな気持ちだったのかな………なんて思った


白に黄色、ピンクに青


次々繋がる花の輪


顔を上げて彼を盗み見れば彼は夢中で花を編んでいた

私の教えた通りに動く指先

真剣に落とされた眼差し

花畑に佇む彼は端正な顔立ちや無機質な雰囲気から人間離れしている様に感じて

今突然花の妖精なんだと言われたらすんなり信じてしまいそうな気さえしてしまうから恐ろしい


真っ黒で大きな瞳には鮮やかなオレンジ色が反射して白い肌は太陽を浴びて輝いて見えた



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